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麻酔薬と遺伝子

麻酔薬によるmicroRNA発現変化と生体への影響

2005年本教室の坂本教授により「セボフルランが各臓器の遺伝子発現変化に及ぼす影響」について報告し、麻酔薬の体内遺伝子発現に及ぼす影響の網羅的解析としては世界で初めての研究となりました。本教室ではこの報告を基に脳、肺、肝臓、腎臓においてセボフルラン、プロポフォール、デクスメデトミジンといった臨床で用いられる麻酔薬の作用機序や影響の検討をいわゆる”omics医学(genomics, proteomics, matabolomics)”を用いて、遺伝子、タンパク、代謝物レベルで検討してきました。

一方で、近年話題となっているmicroRNAについても検討を開始しています。microRNAとはタンパクをコードしていないRNAであり、ターゲットとなるmRNAの分解・翻訳抑制により遺伝子発現制御を担います。本教室ではmicroRNAにも着目し、麻酔薬の作用機序の解明とともに、敗血症モデルでの麻酔薬による肺保護機序の解明、肝臓において虚血再灌流障害への臓器保護効果の機序解明をテーマに研究が進んでいます。

Sakamoto A. GENE 356: 39-48, 2005.
Takemori K. Br J Anaesth 100: 190-194, 2007.
Kawaguchi H. PLoS One 5: e11172, 2010.
Tsuboko Y. Biomed Res 32: 55-65, 2011.
Tajima T. BMC Med Imaging 12: 28, 2012.
Tanaka S. Biomed Res 33: 255-263, 2012.
Genda Y. Int J Mol Med 31: 129-137, 2013.
Goto G. Mol Med Rep 9: 1715-1722, 2014.
Takeuchi J. Int J Mol Med 34: 291-298, 2014.
Otsuki T. Biomed Rep 3: 408-412, 2015.
Fujimoto S. Biomed Res 36: 347-355, 2015.

 


麻酔薬によるmicroRNA発現変化と生体への影響

当教室では過去に健康ラットに対してセボフルランを暴露し、肝臓においてmicroRNAの発現が変化することを報告しました。そこで、肝切除術・生体肝移植術などで問題となる肝臓虚血再灌流障害に対してセボフルランの臓器保護効果にmicroRNAが関与しているか、また過去の報告で臓器保護効果が確認されている虚血PreconditioningとmicroRNAレベルで差異があるかをラットのモデルで研究しています。

Nakazato K. Biomed Res 30: 17-24, 2009.
Ishikawa M. Anesthesiology 117: 1245-1252, 2012.
Morita T. PLoS One 14: e0125866, 2015

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